星が落ちる夜に

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空から星が落ちてくる。そろそろ落下星の季節だ。年甲斐もなくヒロシは虫取り網を片手に私を夜の公園に連れ出した。地面に落ちたら消えてしまうこの星は、落ちる途中ですくわないと手に入らない。その星は簡単に手で割れ、藍色の結晶が入っている。稀に二つ入っており、愛の結晶として恋人同士で持てば星の∞の形状からか二人は永遠に結ばれるという。

十年前の今日、落下星の結晶をプレゼントしてくれたのが私達のキッカケだった。

でもね、ヒロシ。永遠じゃなかったよ。
私がヒロシの知らない結晶を持っているだなんて知ったらなんて思うかな?

今日こそ。今日こそ言わなきゃ。

「やった!」

ヒロシは深い深い藍色に輝く二つの結晶を手にし、私に駆け寄ってきた。笑顔で差し出したヒロシの手の平に、私の涙が落ちた。手の平の上の結晶は一瞬でピーナッツ色に濁った。

「ヒロシ、あのね」

ピーナッツの結晶は地面に落ち、粉々に砕けた。
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公開:19/12/29 10:29
更新:19/12/31 16:54
節目

たらはかに( 日本 )

たらはかに

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猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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