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知り合いであったり、肉親であったり、誰に対しても。わたしはまずその人の手に、目がいってしまうのは何故だろう。

手は、その人の苦労を如実に反映するものだと思う。とくに指を見ると、なおさらそう感じられる。

祖母の手は、しわくちゃだった。とても正直なのは指で、皹もあったり、節が太かったりした。わたしはその時、手の指にも「節目」があるように感じられた。

言わずもがな。「節目」はもともと、竹や木のふしめの意味で使われている。とくに竹は節目を作ることで強くなり、ぐんぐん成長する植物だ。

祖母の指もそうであったのだろう。戦争体験や、結婚、出産など長い人生の中で、竹のように節目を作ることで強くなり、ぐんぐん成長していったのだと思う。

セレモニーのベルが鳴る。
あ、わたしの目から熱いものが流れ落ちるのが分かる。

いままさに。祖母の人生最期の節目に立ち会い、静かに横たわる祖母の手をやさしく握った。
その他
公開:19/12/30 02:19
更新:19/12/30 06:41

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