12
12

小学校の入学式から帰ってくると、お婆ちゃんが「はいよ」とプチプチを渡してくれた。ホントは『きほうかんしょうざい』と言うらしい。
「今日もひとつだけ?」
「ああ。沢山潰しちゃいけないよ。人生はあっという間だからね。一つ一つの節目を大事にしなきゃいけないのさ」
難しくてよくわからなかった。
私は狙いを定めて親指を押し込んだ。

プチ…

小さく音を立ててプチプチが潰れた。お婆ちゃんがひょいとプチプチを取り上げて棚に戻した。
ホントはもっと潰したかった。
あの音は人間を夢中にさせる魔法がかかってる。
そんな気がした。

ある日、私は我慢出来なくなって、棚からプチプチを盗み出した。

プチ…

一つ潰す度に、また次も潰したくなる。

プチ…プチ…

私は時を忘れて潰し続けた。
気がつくとプチプチは残り一つ。
「もう…ないねぇ…」
私はシワシワの手を震わせながら、最後の力で指を押し込んだ。

プチ…
ファンタジー
公開:19/12/30 00:58

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容