ついたままの嘘

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「嘘集めてるの」

目の前の不思議ちゃんが言う。なぜか、こんな娘に惹かれてしまう。親父の愛人もだいたいこのタイプ。くっ、これも遺伝か。

「嘘って浮いてんの?」
「うん。でも、あまり良いのがないわ」

彼女が探しているのは、ついたままの嘘。バレたら嘘は消えてしまう。物質と反物質みたいなもんね、と彼女は言うが、よく分からない。

バレなくても、しょうもなさ過ぎて行き場を失っている嘘もある。これが良くないヤツ。そうじゃなくて、本心に反してつかざるを得なかったみたいな嘘が最高にイカす、らしい。

「年末の歓楽街ってワケありな人いそうじゃん。行きずりの果てに偽りに偽りを重ねてーみたいな、きゃは、まじウケる」

まじ可愛い。けど、無性に腹が立った。必死なんだよ。今さらかも知れねえけどさ。俺たちの親が一緒になりたいってのも…。初めて会う妹に、こんなのどう伝えろってんだよ。

「あ、レア嘘、浮いてる!」
ファンタジー
公開:19/12/30 00:35

糸太

400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。

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