正義のヒーロー？

　子供たちに流行りのヒーローの絵本を読んでも、彼らはすぐに飽きてしまう。
　そこで、少し話の設定を捏造してみた。
「実はね、ヒーローＲやＢたちを造ったドクターZは、ヒーローたちの敵である怪人たちも造っているんだ。ヒーローたちもそれを知っている。それなのにの立場で戦っているのは何故だと思う？」
　こう聞けば、子供らは、それでも互いが許せないから等と言う。
「違うよ。本当はドクターの名誉のためさ。ドクターは、自分はこんなに悪い怪人たちを倒す素晴らしいヒーローたちを造ったんだと、世間に見せつけて、すごいってほめられるために対立した彼らを産み出したんだ。ヒーローも怪人もそのドクターの自作自演を手伝っているだけ。そこに正義も悪意も何もない。本物のヒーローなんて一人もいないんだよ」
　ここまで話せば、子供たちは喜び、笑い、手を叩く。
　私たちは幼い頃から、正義のヒーローなど望んでいないのかもしれない。