おでん人間(或いは21世紀初頭の日本の都市生活者)

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 ある寒い寒い夜の帰り道。21世紀初頭の日本の都市生活者ならこんな夜、コンビニへ寄っておでんを買って帰るのは納税に等しい市民の義務とさえいえるのではないだろうか。そんな気がして、私はコンビニαの自動ドアの前に立った。
 しかしコンビニαのおでん鍋には具が二種類しか残っておらず、それはちくわぶと白滝だった。
 私はコンビニαからコンビニβへ向かった。コンビニβは自宅を通り越した少し先にある大型店だ。
 賢明なる読者の諸兄にはもはや説明の必要もないのかもしれないが、コンビニβのおでん鍋には大根三切れが、澄み切った琥珀の露にまばらに浮かんでいるだけであった。
 考えてみればこんな寒い夜には誰だってコンビニに寄っておでんを買って帰ろうと思うだろう。ましてそれが21世紀初頭の日本の都市生活者なら。
 なんだ私もみんなと同じなんだ。そう考えるとなんだか少しホットした。
その他
公開:19/12/27 23:36
シリーズ人間

尋亀( ネオトキオ )

巣々木尋亀(すずきひろき)と申します。

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