先輩とわたし

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先輩がまた戻ってきた。ってことは、今日はスタートの日なのだろう。でも今度は何の?

「結婚編よ」

先輩は言った。この前は自分探し編、その前は青春編で、もう一つ前は初恋編だった。

先輩というのは私が勝手につけた呼び名で、実のところ先輩は私自身でもある。

双六のような人生をサイコロ振って進んでいると、いつも運悪く[ふりだしに戻る]を踏んでしまう先輩。そして戻るたびに過去の自分、つまり私と出会う。この先、何が起こるか知らない、文字どおりの人生の後輩と。

でも、この世界は私のもの。だから先輩は自分が踏み誤った選択だけを伝えて、すっといなくなる。

これまでは先輩の忠告どおりに選んできた。おかげで人生、悪くないとは思う。でも先輩。私、本当にそれで幸せなのかな。

龍が立ち昇る大きな背中に、そっと唇を寄せる。要は同じマスを踏まなきゃいいんでしょ。結婚編かあ。ふふ、一足飛びにゴールしてみせるわ。
ファンタジー
公開:19/12/27 22:51
更新:19/12/28 23:47

糸太

400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。

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