遺失物取扱窓口(兼会計課)

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 私は警察の『遺失物取扱窓口』で書類ができるのを待っていました。そこは病院の受付みたいに、胸の高さに小窓があって、そこからやりとりをするのですが、そこへ、大きな男性がやってきて、それはもう窮屈そうに背中を丸めて「スミマセン」と言いました。
「はい、何?」
「あの、チョークありますか?」
 この窓口は「会計課」というものを兼ねていて、交通費の精算や、事務用品の管理をする場所でもあるのです。
「マーキングチョーク? あるよ」
 受け答えをしているのは、私の書類を担当している女性でした。すごく元気でぶっきらぼうで信頼できそうな声をしています。
「あ、あのチョーク、普通の。先生のチョーク」
「普通の? あるよ」
「黄色と青を12本ずつ」
 
 話はこれだけです。
 15年も経って、何故今、私はこのことを思い出したのでしょう。私は何故警察にいて、なんの書類を待っていたのでしょう。とても気になります。
その他
公開:19/12/27 17:31
宇祖田都子の話

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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