十年目の決意

　あれからもう十年。いくらでもチャンスはあったハズだ。それを食べるチャンスは。

　高校時代、同じクラスのカレンちゃんから貰ったバレンタインチョコ。貰ってすぐ食べてしまうのは勿体無いと思い、とりあえず家の冷凍庫に入れておいた。しかし取り出して自然解凍して食べるのが億劫になり、気が付いたら十年も経ってしまったのだ。そのあいだ、毎年バレンタインが訪れる度に思い出しはしてたが、やはり解凍が億劫で食べず仕舞い。捨てるという選択もあったが、カレンちゃんの心が籠ったチョコレートを、食べずに捨てることは出来なかった。
　しかし十年目の今、俺はとうとう解凍までこぎつけた。ついにそのチョコを食べるときが来たのだ。しかし冷凍保存していたとはいえ十年経っている。果たしてチョコの味はするのだろうか？とりあえず一口かじってみることにした。
　そのチョコをかじった瞬間、上の前歯が三本へし折れた。