本音色

事の発端は…話せば長くなるな。
今更と言わずに、聞いて行っておくれよ。まず…今から60年前、生まれながらに表情筋の機能が制限されている赤子が世界中で産まれ始めた。産まれた赤子は皆、自らの声に色を付け、自らの感情を表現する様になった。失った表情の代わりの、新たな感情表現の形だ。
そして時は巡り、赤子…つまり私達は立派な大人になった。同時に研究も進み、私達は、今や最も分かりやすい種族だ。声色を見れば、相手が何を思っているのか分かってしまうからね。
ところで研究結果によると、大半の人間は怒りは赤、悲しみは青、喜びは黄色か橙。嫉妬なら紫色を言葉に乗せるらしいけれど、心の奥底の本音は、何色なんだろうね。え？私はどんな色だと思っているのか？
私は赤色だと思っているよ。何故かって？まぁ、私の声色を見れば分かるだろ、真っ黒だ。まぁそんなことはどうでもいい。
それじゃそろそろ、
腹を割って話そうじゃないか。