プリンセス・バスタイムⅢ

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「水に流す事にしたわ」
そう言ってお姉ちゃんがくれたのは、入浴剤だった。御丁寧にのし付きで、負け惜しみにしても無理が見え見えで笑っちゃう。
「ありがとう。今夜は彼が来るから、早速使うわ」
ほらまた黙る。そんなだから、妹に男盗られるのよ。捨ててやっても良いけど、せっかくだから入らせてもらおう。
えぇと、『プリンセス・バスタイム』ださい名前。おとぎ話のお姫様気分?何よ、子供用じゃない。
箱の中身は白い貝殻。湯船に入れて、シャワーでお湯を注ぐと泡風呂の出来上がり。マリンソープの香りとクリームみたいな泡が気持ち良い。身体ごと溶けちゃいそう……
軽く足をばたつかせて、ぞっとする。
足の指から崩れて、泡に溶けていく。すねから太腿、お腹、下半身だけじゃなく腕も、胸も肩も、かお

「言い忘れたけど、私達復縁するの」
お姉ちゃんの声と、隣に彼が。
お風呂の栓が引き抜かれ、足元からずずず、と私が流れていった。
ファンタジー
公開:19/12/28 23:59

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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