私の中の　２

喉に自分の中の仏がいると知ってから、どうも意識してしまう
そりゃそうだ、喉を棲み家にされてるんだから
咳の回数も多くなった気がする

「イガイガしないでください、瞑想の邪魔です」
ずっと瞑想していてほしいものだ
それなのに喋りかけてくる
「今私は大事な時期、まさに悟りを開かんとしているのです」
「ずっと開いてるんじゃないのかよ」
「やれやれ。いいですか、仏は大きく三種類あるのです。若い順に立像・坐像・涅槃像。出世魚みたいなもんです」
「ほう」
「立ってる像は謂わば若手で悟りを開く前、座っているのは修行して悟りを開かんとしている時、横になるのはすべての教えを説き終えた後です」
「どれくらいかかるの？」
「生後10年ほどしたら、喉仏が出てくるでしょう？あれは私が座った証拠です。それから70年の修行を経て、やっと寝っ転がるのです」
「喉の中で寝っ転がるのか？」
「だからよく餅が詰まるんですよ」