ラテアート刑事

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「……母さんっ……刑事さん、全てお話します」
犯人は私の描いたラテアートを見つめ涙を流すと、犯行に至るまでの経緯を自白した。故郷の風景、被害者と親しかった頃の思い出、母親の悲しんだ顔などがミルクにのって浮かび上がり心を動かされたのだろう。

「ラテアート刑事、やったな」
取り調べ室を出た廊下でドンマイ刑事が私の肩を叩いた。
「ありがとうございます!ドンマイ刑事のおかげです!」
ドンマイ刑事は私が副業のカフェでの張り込み中に、ラテアートに熱中しすぎて犯人を取り逃がした時も、見間違えて犯人の黒いジャケットにラテアートを描いてしまった時も、ドンマイと言って励ましてくれた。ドンマイ刑事が相棒で良かった。
「次は負けなくてよ」
おとしのフタちゃんことアルミ刑事が捨て台詞を吐いて立ち去った。
私たちの勝負は始まったばかりである。
しかし、お嬢様育ちのアルミ刑事は私が特殊能力者であることをまだ知らない。
その他
公開:19/12/28 20:46

文月 楓

ゆるりと作品を創っていきたいと思います。
どの作品にでもコメントいただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします。

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