親の目

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春。所有者不明の裏山の竹林で筍取りをするのが日課になっていた。
その日も籠を背負い山に入った。うっそうと茂る竹。ふと強い視線を感じた。「山の所有者に見つかったか?」あたりを伺うが人の気配はない。「早いとこ掘って山を下りよう」手近にあった筍を掘り起こし籠に入れたその時、また強い視線を感じた。
「子供をどうするつもりだ」声のほうを見ると竹が光っている。目だ。節に目がついている。見回すと周りの竹の節でも目が光っていた。俺は節目に囲まれてしまった。
「い、いや、あの。もっと日当たりのよい所に移そうと思って」
「ふんっ」見透かしたように目が光る。その時。
ドドドドドー。地鳴りとともに黒い塊が飛び出してきた。
「あ、危ない」
巨大なショベルカーによって竹がなぎ倒されてゆく。ショベルカーはそのまま竹林をまっすぐに進んでいった。

「最近荒っぽい筍取りが増えたな」
倒れた竹の目は眩しそうに太陽を見つめた。
その他
公開:19/12/28 16:25
節目

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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