イケメン魚拓

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カシャ
スマホのシャッター音で目を覚ます。
俺に馬乗りになった女は悪戯が成功したように笑っていた。
「何撮ってんだよ」
「起きた?」
この女の名前……何だっけ。
逆ナンされて部屋に連れ込まれて、酒飲んで、それから…。
「魚拓みたいなもんよ」
「魚拓?」
「イケメンを釣り上げたら自慢したくなるでしょ?」
「俺、魚じゃねえし」
不機嫌に言うと、「昨日は美味しかったわ」と女は俺に抱きついてきた。
「私、釣った魚に餌をあげるタイプなの」
耳元で囁かれ、シャツのボタンが器用に外される。開いた胸元で女の掌が踊った。
俺の分身が情事を期待し熱を持った。
「釣り上げた魚を魚拓に取ったら、次はどうすると思う?」
「…食べる?」
「惜しい。答えは捌くでした♪」
女がベッドに隠していた出刃包丁を手に取り、俺の胸元に突き立てた。
ヌルリと俺は包丁を躱す。
「残念。俺はウナギなのさ」
俺は女をねっとりと絡めとった。
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公開:19/12/28 14:00
更新:19/12/28 13:04
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のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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