ブラッド・ナイト・クリスマス
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ポインセチアはイエスの血。聞いた状況は忘れたのに、中身だけ憶えている。
さっきまで白かった花が、ワインより鮮やかに燃えて――確か赤ワインも聖別の血だと、銀皿の七面鳥に突き立った、ナイフのエッジを見て思う。赤ずきんの狼みたいに、腹一杯に詰まっているのは、ずるずる繋がったソーセージ。3分の1ばかり引っ張り出し、表面の炭化したレアに食欲を失くす。おまけに途中から指に変わっている。プラチナのリングと毒々しいマニキュアが確認出来た所で、押し戻して皿ごとレンジに突っ込んだ。
一体何の暗示だろう?冷静に分析可能だから、これは夢のはずだ。そうに違いないと内心の怯えを宥め、600wで3分。派手にスパークが飛んで、お誂え向きのイルミネーション。ああ、肥った七面鳥が、グレーテルの竈もかくやの大絶叫。生臭いグラスを飲み干すと、仔ヤギの柱時計が真夜中を打ち始めた。
12回鳴り止む前に、パトカーの赤色灯が表を染めた。
さっきまで白かった花が、ワインより鮮やかに燃えて――確か赤ワインも聖別の血だと、銀皿の七面鳥に突き立った、ナイフのエッジを見て思う。赤ずきんの狼みたいに、腹一杯に詰まっているのは、ずるずる繋がったソーセージ。3分の1ばかり引っ張り出し、表面の炭化したレアに食欲を失くす。おまけに途中から指に変わっている。プラチナのリングと毒々しいマニキュアが確認出来た所で、押し戻して皿ごとレンジに突っ込んだ。
一体何の暗示だろう?冷静に分析可能だから、これは夢のはずだ。そうに違いないと内心の怯えを宥め、600wで3分。派手にスパークが飛んで、お誂え向きのイルミネーション。ああ、肥った七面鳥が、グレーテルの竈もかくやの大絶叫。生臭いグラスを飲み干すと、仔ヤギの柱時計が真夜中を打ち始めた。
12回鳴り止む前に、パトカーの赤色灯が表を染めた。
ホラー
公開:19/12/25 23:18
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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