フシメンズ

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「ひらけ、ゴマ!」
感性がそう叫んだが、
「開くわけないだろ、俺らのゲートはパスワードでしか開かないんだから」
と理性がたしなめた。
「IDで管理しとけば、労力がいらなくて便利と思ったんだ」
行く手を塞ぐ巨大な厚い壁に寄りかかり、座り込んだのは体力。
「忘れてごめんよ」
と頭脳が舌を出す。
「それよりさ、お腹すかない?」
本能が皆を昼休憩に誘った。
毎日、お決まりのやり取り。
彼らはある男の人生を進めるべく存在する節目開通作業員。
彼らがゲートを開けねば男は人として一向に成長できない。
ところが、彼らには共通して、やる気がない。
「岩田の経営する会社、儲かってるらしい」
「吉井が専門家としてテレビに出たそうだ」
「岡田は本を出して賞をとったぞ」
同級生の活躍を伝えあっても焦りは皆無。
今年で、小学50年生。
ある意味大きな節目だな、と誰かが言い、皆のだらしない笑い声がゲートにこだました。
ファンタジー
公開:19/12/26 23:02
更新:19/12/26 23:31
節目

kan0j0( 東京 )

おとぎ話を一粒、どうぞ。百字物語から長編までファンタジーを中心に執筆。ブログでは他に、怖くない怖い話や育児エッセイなど、多重人格に文と絵を書き(描き)分けています。仕事ではコピーライター10年。2019年、フリーに。まずはZINEをつくりたいと思っています。共にコラボできる方など高め合える人ができたら嬉しいです。
kan0j0.livedoor.blog
Instagram: kan0j0
Twitter: angaikikuko
 

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