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「今の江戸川や新中川、荒川じゃ、小豆洗いも出てきやしないじゃないか! 河童も棲めないし、人魚もいないよ!」

僕はそう言って駄々をこねて仰向けに地面にひっくり返って手足をじたばたさせた。

「しょうがないな、よしおくん。見上げてごらん。ほら、あそこに一反もめんが飛んでるだろ?」

K太郎がそう言った。

「忘年会帰りのお父さんが道に迷うのは、ぬりかべがいるからなんだよ。」

「でも、そんなの……」

「よしおくんは、さっきすねこすりに出会ったの、気が付かなかったのかい?」

「なんか懐かしい感じがしたよ」

「そう、あれは、今年の夏に虹の橋を渡った、よしおくんの家の猫じゃないか。わからなかったの?」

K太郎に言われて僕は赤面した。どうしてすぐに気が付かなかったんだろう。彼らはそうやっていつも身近にいるんじゃないか。

「川の浄化、もっと頑張らないとね」

僕はK太郎にそう言った。
ファンタジー
公開:19/12/29 12:00
更新:19/12/26 14:13
233 妖怪はどこにいる? 妖怪はどこにもいる

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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