サンタ親説

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「サンタ親説あるよね」
ついに小僧が言いはじめた。いつかこの日が来るとは思っていたけれど、子供の成長は早いものだ。
「ホントにプラレールが来たよ」
何より電車が格好いいと言っていた頃は可愛いかった。
「サンタは夏暇なんだろうな」
「そんなことない。毎日準備に大忙しさ」
あの一言がマズかったか。
「煙突の無い家ってどうするの?」
「煙突の無い家なんてあるもんか」
あれもマズかったろうか。
「サンタに会ったことあるの?」
「会ったことは、ないかな」
あれが決定的だったか。
クリスマスの夜、小僧はなかなか眠らない。
来るべき時が来たのだ。俺は決心して夜の窓を開けて指笛を吹く。夜空にジングルベルを鳴らしたトナカイが駆けてきた。俺は真っ赤なコートを羽織る。小僧は目を丸くした。
「早く寝ないとサンタ来ないぞ」
俺は天井へ指で四角を描く。現れた煙突から星空へ飛び出せば、ソリにまたがって夜風を切った。
ファンタジー
公開:19/12/24 20:54
更新:19/12/24 20:54

puzzzle( 神奈川19区 )

作文とロックンロールが好きです。
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