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俺が望むもの。それは安全で温かい寝床。それだけだ。
餌?ああ、それもあれば最高だな。しかし何事も高望みをしてはいけない。
安全で温かい寝床で餌まである。そんな場所、もうとっく力のある猫に押さえられている。
俺の様な弱く明日死ぬかもしれない子猫が行っていい場所じゃない。
俺に出来る事と言えば虚勢を張る事。少しでも自分を大きく見せる。少しでも自分を強く見せる。それぐらいだ。
無意味かもしれないがそうしないと生きていけないからな。
今日も餌にありつけず、俺は車の下で休むことにした。
車の下はいい。排気ガスのニオイと煙は嫌いだが、温かくて過ごしやすい。
そんなオアシスから俺を引っ張り出す者がいた。
人間だ。そいつは俺に言った。
「貴方いつもここに来るわね。しょうがないな…貴方は今日からうちの子よ」
その日から僕は虚勢を張る必要がなくなった。
安全と温かい寝床と餌。何より一番欲しかった名前を貰えた。
公開:19/12/24 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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