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昨夜も30センチの積雪があった。
毎朝、起きてカーテンを開ける瞬間はごくり、と息を飲む。愛猫は窓から一番離れたところでまだいびきをかいている。
ふぅ、といつものようにため息をつきながら、玄関の下駄箱に立て掛けているシャベルを手にする。
仕方がない。さて今朝も、雪掻きを始めるか。

ふと、シャベルがコツリ、とぶつかる気配がして手が止まった。玄関前は平らなはずなのにおかしい。
何かいたらイヤだなと思いつつ覗いてみると、雪ダルマがひょっこりと顔を出した。左右の目に『節』と書かれている。夜中のうちに誰か作ったのか?そっと触れてみる。
すると、みるみる『節』は溶けて涙のように流れた。いつの間にか起きてきた愛猫がその臭いを嗅ぎ、ペロリと舐めた。そうだ、今日は以前飼ってた『節子』の命日だ。雪ダルマとなって遊びに来たんだな。

二匹がよく戯れて遊んでいたことを思い出し、思わず笑みが溢れた。
春はもう近い。
ファンタジー
公開:19/12/24 13:05
更新:20/04/06 21:37

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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