花から生まれたプリンセス

　黒歴史多発時期である中学二年の頃。
　クラスに所謂「不思議ちゃん」がいた。
　彼女は、自分を「遠い星のお姫様で、薔薇から産まれた」と言っていた。
　そんな彼女は、思春期初心者の男子達の格好の餌食だった。
「嘘つき！花から人が生まれるわけないだろう。赤ちゃんてこうやって作るんだよ」
　卑猥な写真を見せてたり嫌がらせをしては、彼女を泣かせていた。
　けれどクラスの誰も本気で止めなかったし、先生に至ってはむしろ彼女の神経質さを責める始末だった。
　ある時から彼女は学校に来なくなった。遠くに引越したと聞いた。

　あれから二十年。

　今、空は巨大な宇宙戦艦で埋め尽くされている。
　宇宙連合が、報復に来たのだ。
「あの時の男子を差し出せ！」
　皆、恐怖に男を差し出した。男は一瞬で消炭になった。

　なぜか、その人数は一クラス分より多かった。
　実は、私も夫を差し出している。