メイド喫茶のメイドさんvs紳士 「おいしくなーれ、おいしくなーれ、萌え萌えきゅん」の巻

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オタク文化のニーズに応える空間、それがメイド喫茶だ。
コミックスや、ぬいぐるみ、アニメポスターと、どこか文化祭を思い出すようなメイドさんの手作りの飾りつけに囲まれ、甘やかな幸福感に浸るアキバの聖域。
そこに渋面の紳士が1人、ドリンクを一杯頼んだ。
黒と白のフリフリのメイド服の女の子が「みっくちゅジュース」を運んできてくれる。口元に悪戯っぽい笑みを湛え、丸い襟ぐりからは華奢な感じの鎖骨が覗く。
「あのぅ、ご主人様も、一緒に美味しくなる魔法を掛けて下さいますか?」
「うむ」
紳士はジャケットを脱ぎ、ワイシャツを腕まくりした。
「いきますよ?」
「うむ」
「おいしくなーれ、おいしくなーれ……萌え萌え?」
「お、おいしく…」
紳士は急に立ち上がると、釣り銭も受け取らずに店から遁走した。
万世橋の上から叫び声がする。
「さすがに恥ずかしいんじゃあああ!」
彼の頭にはウサ耳のカチューシャが乗っていた。
その他
公開:19/12/25 17:29
メイド喫茶 メイドさん 例の紳士

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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