包み
1
6
私が小学生の頃だ。
母が、新聞紙に包んだ子供の頭ほどの大きさのものを家に持ち帰った。
私はその中身が気になって仕方がなかったが、母はそれを私の手の届かない場所に置いてしまった。
その夜、帰宅した父に母がひそひそ話しているの、私はこっそり聞いていた。
ほとんど聞きとれず、わかったのは一つの単語だけだ。
ヴァンピール
本で読んだことがある。吸血鬼。
もしかして、あれは吸血鬼の首なのか。
私は昼間触れた塊の、重い感触を思い出した。
心臓がドキドキした。
何故、母は吸血鬼の首なんて持っているのだろうか。
首は一ヶ月経っても、そのまま置かれていた。
私は母が出かけた隙に、包みを開けてみることにした。椅子に乗り思い切り手を伸ばす。
指が触れたと思った途端、包みが床に落ちて転がった。
勢いで新聞紙が解ける。
清々しい香りの晩白柚(ばんぺいゆ)が転がり出た。
母が、新聞紙に包んだ子供の頭ほどの大きさのものを家に持ち帰った。
私はその中身が気になって仕方がなかったが、母はそれを私の手の届かない場所に置いてしまった。
その夜、帰宅した父に母がひそひそ話しているの、私はこっそり聞いていた。
ほとんど聞きとれず、わかったのは一つの単語だけだ。
ヴァンピール
本で読んだことがある。吸血鬼。
もしかして、あれは吸血鬼の首なのか。
私は昼間触れた塊の、重い感触を思い出した。
心臓がドキドキした。
何故、母は吸血鬼の首なんて持っているのだろうか。
首は一ヶ月経っても、そのまま置かれていた。
私は母が出かけた隙に、包みを開けてみることにした。椅子に乗り思い切り手を伸ばす。
指が触れたと思った途端、包みが床に落ちて転がった。
勢いで新聞紙が解ける。
清々しい香りの晩白柚(ばんぺいゆ)が転がり出た。
その他
公開:19/12/25 07:23
朗読依頼等は、お手数ですがこちらまでご連絡ください。
Twitter @hori_mashio
tamanegitarou1539@gmail.com
ログインするとコメントを投稿できます