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猫の手も借りたい。
労働者不足に悩む企業はあろうことかその言葉を現実のものにしてしまった。
遺伝子改良を行った猫を労働力として雇い入れる事にした。猫なんてそこら中にいる。
食事と寝る場所さえ与えれば、猫は文句も言わずに働き続ける。適度な休憩も与えた。労働力は有り余る程にある。
何匹かの猫はとても優秀で独立して起業までした。
猫は鼠を雇い入れ、回し車を走り続けるよう命じた。これにより鼠発電が誕生し、猫はその利権を一手にものにした。
かくして猫と人の力関係は完全に逆転した。
人は猫に奉仕する存在へと成り下がった。猫に逆らえば人は寒空の下に放り出される。
公園で身を寄せ合い、焚火で暖を取る人を猫は見下した。煙を上げる事が公害だと激しく罵った。
だが、そんな行き場を失くした人に優しく手を差し伸べる猫もいた。
猫は人に仕事を与えた。ピラミッド建設という過酷な現場であっても人はそれに喜んで従った。
SF
公開:19/12/22 18:29

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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