終わりの鱗

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私は今日も不自由を泳ぐ。
退屈なこの池も慣れてしまった。
でもこの退屈を変えてくれたのはあなただった。

毎週日曜日の昼間あなたは私を見に来てくれる。こんな言い方は私の妄想でしかないし、あなたは何かのついでに私を見てるだけで大きな意味はないかもしれないけど私は嬉しかった。

あなたの前で私はいろんな想いをぶつけてるわ。でもあなたには全部泡にしか見えてないんでしょうね。嫌になる。私をあなたはいつも高いあの橋から見下ろす。本当は自慢の鱗を横から見て欲しいな。あ、これも泡になった。

日曜日の昼間いつものように軽くランニングをする。仕事も全部やめてしまいたいって思ったのは今日で何万回目だろう。いつも通る池にかかる橋。ふと見下ろし思う、こいつらはいいよな自由で。

今週もランニング。橋を通ると1匹プカプカと水面に浮き、死んでいた。その鱗は死んでいるのに光に反射し綺麗で見惚れてしまった。
その他
公開:19/12/22 15:52

なおき( 愛媛 )

22歳の学生です。

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