レストランで注文取りにきてくれない(コント)

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混雑したレストランにある男が来店した。
シャイな男は、忙しそうに働いている店員になかなか声を掛けられない。
そこへ一人の紳士がやって来た。
「大きな声を出すんだ」
「え?」
紳士はジャケット脱いで、ワイシャツを腕まくりし、男の前に立った。
「恥ずかしがってたら、店員は気付いてくれないぞ。こうやるんだ」
「なんなんですか。あなた……」
紳士は鉢巻を頭につけると、拡声器を手に持った。
「注文、お願いしまあああす!」
「や、やめて下さいよ、恥ずかしいからっ」
「恥ずかしがるな!」
紳士はさらにエレキギターを肩にかけると、それを大きなアンプに繋いだ。
ギュイィィィン、と電子ノイズをかき鳴らす。
「注文、お願いしまああああああす!!」
「ぎゃあ!」
窓ガラスが割れ、店員も、客も、男もみんな驚いて失神してしまった。
「……誰も来ないな」
チッと舌打ちをして、紳士はジャケットを羽織ると店を去っていった。
その他
公開:19/12/22 08:28
レストラン 例の紳士

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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