ジビエ観光鉄道株式会社

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動物界では、空前の高原リゾートブームとなっている。
もともと高原行きに列車を走らせていた牛牧場株式会社のモーモートレインや山羊放牧株式会社のメーメートレインは、連日満車で大盛況だ。
これを羨ましそうに見ていた猪、馬、熊、鹿は、牛や山羊の人気にあやかりたいと一致団結し、身銭を切って共同出資の「ジビエ観光鉄道株式会社」を設立した。
ジビエ観光鉄道株式会社の高原行き列車に乗客を呼び込むため、沿線の見晴らしの良い高原に直営レストランをオープンすることにした。自慢は新鮮なジビエ料理で、自らの肉を切る気合いの入れようだ。
高原で風光明媚な景色を見ながら美味しいジビエ料理が楽しめるという噂が口コミで広まり、ジビエ観光鉄道株式会社の列車を利用する乗客も増えてきた。
その矢先、ジビエ観光鉄道株式会社の経営陣が同床異夢の烏合の衆だったこともあり、会社内部で主導権争いが勃発し、あえなく経営が立ち行かなくなった。
その他
公開:19/12/22 07:44
高原 山羊 鹿 ジビエ 同床異夢 烏合の衆

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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