あなたに渡したいもの
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「入学おめでとう」
そう言ってお母さんは茶色の子犬を私に手渡しました。目が青、鼻が黒いまん丸ボタンのその子は、フワフワの体を怯えて丸くしました。私はその子にマルと名前を付けました。私はマルが大好きで、毎日一緒に遊びました。
ある日、マルの体からちょろん、と糸がほつれていました。マルが糸を咥えて遊びだすと、体がばらばらにほどけて、糸だけになってしまいました。
私は泣きました。
涙を拭うと、不思議なことに私の両手もだんだんと糸がほつれました。私は怖くなり、もっと泣きました。
すると、大きな手が両手を包み、ほつれた指をきゅっと結んでくれました。
「ちゃんと結び方を見るの」
それからお母さんに教えてもらって、マルを編み直しました。マルが元に戻ると、私はお母さんと一緒に顔を綻ばせました。
…聞いてくれてありがとう。あと、入学おめでとう。
渡したいものがあるの。
そう言ってお母さんは茶色の子犬を私に手渡しました。目が青、鼻が黒いまん丸ボタンのその子は、フワフワの体を怯えて丸くしました。私はその子にマルと名前を付けました。私はマルが大好きで、毎日一緒に遊びました。
ある日、マルの体からちょろん、と糸がほつれていました。マルが糸を咥えて遊びだすと、体がばらばらにほどけて、糸だけになってしまいました。
私は泣きました。
涙を拭うと、不思議なことに私の両手もだんだんと糸がほつれました。私は怖くなり、もっと泣きました。
すると、大きな手が両手を包み、ほつれた指をきゅっと結んでくれました。
「ちゃんと結び方を見るの」
それからお母さんに教えてもらって、マルを編み直しました。マルが元に戻ると、私はお母さんと一緒に顔を綻ばせました。
…聞いてくれてありがとう。あと、入学おめでとう。
渡したいものがあるの。
その他
公開:19/12/23 23:39
更新:19/12/25 13:03
更新:19/12/25 13:03
節目
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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