モラトリアム

4
8

アイツらがアタシの方を見て何か喋っている。

大学に入学してからすぐ、何回も告られた。
一度も喋ったことのないヤツもたくさんいた。
二、三回デートしてから、全部断った。
だって決めるのメンドいし。

単位がアブナくなって、教授たちに泣きついた。
後でどうなるか分かんない。
でも卒業したら関係ないし。

就活はすぐ終わった。
「どうせ顔採用だろ」とか言ってくるヤツもいた。
会社なんて入ったら一緒じゃん。
大学と一緒。

卒論は何も手を付けていない。
内定をもらっている会社からの課題も一つもやっていない。

アイツらはアタシたちを一つの部屋に閉じ込めて、一人ずつ連れ出していく。
もう何日経ったか分からない。
このまま適当に時間が過ぎて、いい感じに上手くいけば良いなあ。

「カオサイヨウ」

アイツらがアタシの方を見て何か喋っている。
アタシの意向に沿ったかの如く、この部屋での時間が過ぎていく。
その他
公開:19/12/23 22:52
更新:20/02/11 19:24
節目

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
雑絡みOK!

電子書籍発売中:
https://www.amazon.co.jp/undoodnu/e/B07MK93FWK

Twitter:
https://twitter.com/undoodnu

note:
https://note.com/undoodnu

タップノベル:
https://tapnovel.com/writers/15521

アルファポリス(漫画など):
https://t.co/dsJrZRgEKC

ベリーショートショートマガジン「ベリショーズ」参加&編集&IT技術顧問:
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07PDJ6QPL

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容