冬至当日に湯治に行った杜氏さんの話

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十二月二十二日は、皆様ご存知の冬至でございます。夜の長さが一年で一番、世間じゃ南瓜を食って柚子湯に入る日と相場が決まっております。
さて、とある酒蔵の杜氏さん、これがお頭の南瓜なお人。名立たる柚子湯へ湯治でございと出たはずが、着いた先は自殺の名所、東尋坊の岩の上。
すると杜氏さん、ここへ来たのも何かの縁、柚子より地獄の閻魔に頼み入った方が効き目があろうってんで、えいやと飛び降りちまいました。
これに驚いたのが、東尋坊におわす死神様。何しろ自殺の名所につき、夜を日に継いで働き詰めの大忙し。そこへ杜氏さんが気楽に飛び入り、堪忍袋がぷつんと切れた。
「ちょいとお前さん、どういうおつもりだい!」
この死神様が驚き桃の木、すこぶる付きの好い女。三途の手前で叩き帰された杜氏さん、湯治に行って、草津の湯でも治らぬ病に罹ったという次第。
以上、話は一日遅れと相成りますが、柚子湯に免じて、融通下さいます様。
ファンタジー
公開:19/12/23 20:12
創作落語 ※柚子湯は湯治じゃありませんよ 杜氏さん……。 お頭が南瓜=中身がスカスカ

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

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