魔王の塔

そこは「魔王の塔」と呼ばれる場所であった。500メートル以上あるその頂上からは国土が一望でき、遥か彼方の山脈や大河まで広がる街や村がすべて見えるのであった。

魔王を倒した勇者はそれを観て思った。

「ここをすべて自分のものとせねば」

勇者は魔王となり国を支配した。

やがてあらわれた勇者は魔王を滅ぼし、塔にのぼって国土を見渡したあとこう思った。

「ここをすべて自分のものとせねば」

この勇者もまた魔王となり国を支配した。

さらに別の勇者が魔王を滅ぼし、塔にのぼった。

「ここをすべて自分のものとせねば」

そう、ここは「魔王の塔」。来るものすべてを魔王に変えてしまう場所なのだ。