そして除夜の鐘は鳴る

『あと一週間で令和元年も終わりですね。皆さんやり残したことはございませんか？』
　テレビのニュースキャスターのその一言に、私は焦りを感じている。
　今年、私は何をした？元号が令和になったとはいえ、まるで変化のない日々を惰性で過ごしているうちに、いつのまにか十二月下旬になってしまったのか。今年の初めに自分でなにか目標を立てていたような気がしたが、それがなんだったのか最早私は覚えていない。これでは充実感も達成感も無いのは当たり前だ。
　書店を訪れてみると、来年分の能率手帳・日記帳コーナーが広々と設けられている。それを見て私は決意した。来年は元旦からきちんと日記をつけるようにし、最初のページには抱負や目標を忘れてしまわないようにきちんと記しておこうと。惰性で過ごすのは今年でもう終わりにする。
　毎年このように決意して翌年用の日記帳を購入するのだが、結局なにも書かれることなく除夜の鐘が鳴る。