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私はガラスの向こうの彼に「久しぶり」と声を掛けた。
でも、彼は無言だった。
「ちゃんと食事、摂ってる?」
彼は少しだけ頷いた。
「そう。私は信じているから。あなたはやっていないって。だから、私にだけは本当の事を教えて。どんなトリックを使ったの?だってそうでしょ、海外にいたはずのあなたが殺害現場の防犯カメラに映っているなんて絶対におかしいじゃない。だから私なりに調べてみたの。確かにあなたのアリバイ通り、殺害時刻とされるその時間にはあなたが企業と商談していた事が現地で確認されたわ。でも、10分間だけ空白時間があったわ。あなたはその10分間を使って被害者を殺したんじゃないの」
彼は無言だった。
「黙っていないで何か言ったらどうなのよ。返答次第では私にも考えがあるんだから」
彼は突然、椅子から崩れ落ちた。彼の胸にはナイフが刺さっていた。
「ちょっと待って、これじゃ、まるで私が犯人みたいじゃない」
公開:19/12/20 20:41
更新:19/12/20 20:47

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