ぬくもり
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タブレットのスリープボタンを押して本を閉じた。壁にかかっている温度計を見ると零度を下回っていて、窓の外はうっすらと雪が積もり始めている。ストーブの無い木造の駅舎は外と変わらない。
タブレットを鞄に仕舞うと、かじかんだ手を擦り合わせつつ息を吹きかけて少しでも指先を温めようとした。そんなにも寒い駅舎の中で、隣に座る彼女はまだ本に目を落としている。
コート、マフラー、ブーツ。分厚い防寒具を身に着けて夢中になって本を読んでいた。
「寒くない?」
僕が声をかけると彼女は赤くした顔をこちらに向けて「寒い?」と聞き返してきた。
「まあね」
「うーん、それじゃあ」
彼女が僕の懐に潜り込み、もたれかかるように座って、また本を読み始めた。コート越しに彼女の体温が伝わる。
「これでよし」
急に心臓が燃えて熱い血を全身に送り始めたような気がした。寒さを感じなくなって、帰りの便を待つ間、僕の身体はずっと熱い。
タブレットを鞄に仕舞うと、かじかんだ手を擦り合わせつつ息を吹きかけて少しでも指先を温めようとした。そんなにも寒い駅舎の中で、隣に座る彼女はまだ本に目を落としている。
コート、マフラー、ブーツ。分厚い防寒具を身に着けて夢中になって本を読んでいた。
「寒くない?」
僕が声をかけると彼女は赤くした顔をこちらに向けて「寒い?」と聞き返してきた。
「まあね」
「うーん、それじゃあ」
彼女が僕の懐に潜り込み、もたれかかるように座って、また本を読み始めた。コート越しに彼女の体温が伝わる。
「これでよし」
急に心臓が燃えて熱い血を全身に送り始めたような気がした。寒さを感じなくなって、帰りの便を待つ間、僕の身体はずっと熱い。
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公開:19/12/20 12:08
深く考えずにふわーっとした空気感で書きたいです。ログアウトしてはパスワードを忘れる日々。
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