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ミケの耳が聞こえなくなった。
両親からそう聞かされた時、意味が分からなかった。耳が聞こえないってどういう事?ミケはもう呼んでも答えてくれないの?
その答えを知った時、私は涙した。
しかし当のミケは自分の事なのに我関せず。耳の不自由などものともせずに悠々自適な生活を送っている。
ミケはもう15歳。耳が聞こえなくなったり、素早く動けなくなったりするのは当然だった。
しかしミケは元気に家中を走り回ると埃を煙のように巻き上げ、耳が聞こえないことをいいことに餌を催促する。
そんなミケに私はホッとしていた。
何より嬉しかったのはミケは耳が聞こえないなずなのに私の呼びかけに反応してくれた。
きっとあのピンッと立てた尻尾がアンテナの代わりなんだろう。
私は試しにトランシーバーを使ってミケに語り掛けた。「ミケ、聞こえますか?」
ミケが振り向いた。ザザッと音がしたと思うと「寝かせてください」と声が返ってきた。
公開:19/12/21 18:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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