お正月の文字
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年賀状の束を前にして、夫が悩んでいる。筆をくるくると回しては、練習用の紙に文字をしたためる。不満そうに首をかしげる。
「”正月”だと1つ足りないんだよなあ」
また始まった。もはや、毎年の恒例行事になっている。
「それなら”お”をつければいいじゃない」
「それだと2つ多い」
「”元旦”や”賀正”は?」
「元旦は1つ足りなくて、賀正は多すぎて切りが悪い」
めんどうになって、妻は答えた。
「もういつも通りでいいじゃない。なんで、そんなことに拘るのよ」
夫は深くうなずいた。
「昔から使われている漢字には、やはり理由があるんだなあ」
こうして夫は、いつも通りに”正”の字で、年賀状の枚数を数え始めた。
「”正月”だと1つ足りないんだよなあ」
また始まった。もはや、毎年の恒例行事になっている。
「それなら”お”をつければいいじゃない」
「それだと2つ多い」
「”元旦”や”賀正”は?」
「元旦は1つ足りなくて、賀正は多すぎて切りが悪い」
めんどうになって、妻は答えた。
「もういつも通りでいいじゃない。なんで、そんなことに拘るのよ」
夫は深くうなずいた。
「昔から使われている漢字には、やはり理由があるんだなあ」
こうして夫は、いつも通りに”正”の字で、年賀状の枚数を数え始めた。
その他
公開:20/01/01 21:00
更新:19/12/21 17:08
更新:19/12/21 17:08
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