マッコリ売りの美女

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「マッコリいりませんか?」
美しい女がみすぼらしい格好で酒を売っていた。
おじいさんはこんな夜に可哀想だと思って、一本買ってあげた。仕事が終わったら一杯飲みたいと思ってたから丁度いい。金を払うと酒を受け取った。
「あのぅ、そのお酒私にも一杯だけ貰えませんか?」
酒売りの女の言葉におじいさんは快諾した。こんな寒い日には酒でも飲んで体を温めないと死んじまう。
女は一杯飲み干すと、もっともっととおじいさんにせがんだ。あっという間に酒瓶は空になった。
「代わりを一本くれないか。君が全部飲んでしまったから」
「ごめんなさいね。もう売り切れなの」
女はパッと姿を消した。どうやら魔女のキャッチセールスに引っかかってしまったらしい。やれやれ、騙されたと溜息をつく。
休憩で寄ったこの町。さて配達の続きだ。おじいさんは鈴を鳴らしながら、トナカイのソリで空を飛ぶ。上空から、別の男に酒を売るさっきの魔女が見えた。
ファンタジー
公開:19/12/21 10:48

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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