講座 なぜ霊体は着衣姿なのか 第二回

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 手元のプリントを見てください。三年前。前任の江間教授が行った実証実験の記録です。実験期間中、教授は、人前では常に白衣を着用し、一人の時は常に全裸で過ごしました。最終実験当日、教授は助手が用意した衣服を目隠しをして着ると、「結果が知りたい。結果が知りたい」と呪文のように念じながら投身自殺なさいました。霊化した教授がどの着衣体で現れるのかによって、以下の仮説が論証できると考えたのです。
① 絶命時の着衣 → 本人の認知とは別の自然的現象
② 全裸 → 絶命時の念は本人の記憶に影響される。
③ 白衣 → 生前を知るものの共同幻想

 この中で、さらなる問題を孕むのは③の場合です。霊や心霊写真は、死者の生前と無関係な者も見ます。一部の者の印象の記憶が死者の「念」と結びつき、写像に普遍的な影響を与えている、となると物理学的にも看過できない問題を提起することになるからです。
 では。確認しましょう。
その他
公開:19/12/21 10:27
更新:19/12/21 10:53

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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