私、転色します

家に帰ると仕事が座っていた。昔はパステル色だった仕事も、今や私には淀んだ色のボーダー柄にしか見えない。

「お腹空いたな、仕事漬けある？」
もう漬けてない。

「俺の色に染まると言ったのはお前だろ」
そういう無責任な態度が嫌だ。

突然仕事はキスを迫ってきたが、拒んだ。
「ごめんな。仕事柄、よこしまな事は良くないよな」
何を言う、ボーダー柄のくせに。

私は呟いた。
「あなたとの将来は見えない。全てあなたのせい」

ふと気づいた。私も無責任な発言をしてる？私の腕にもうっすら淀んだボーダー柄が。知らない内に私も染まって…

私は仕事を部屋から追い出した。

すぐに選択機に脱職剤を入れて飛び込んだ。選択槽で勢い良く回る私から仕事柄が流れ落ちていく。振り返ると色々あった。憧れ、興奮、不信、裏切り、諦め。

涙が一粒落ちた。

晴れて私は真っ白になった。そして明日colorの自分に思いを巡らせた。