ある日のアルミネーション

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『そんな金ない』と息子に言えなくて、50円の穴見て溜め息……。
よそはよそ、うちはうちだと我慢させ、我慢させてのワガママひとつ。
『クリスマス、庭でツリーを光らせて』
――今更『ごめん』なんて出来ない。

ボール紙。台所のアルミホイル。はさみとのりとセロハンテープ。
チープだな、自分で作って苦笑い。裸モミジの枝にぶら下げ。

「わぁ、きれい!キラキラ星だ!」
いいんだよ。子供が親に気を遣うなよ。
無理だって判ってるから。こんなんじゃ、大して光りもしないだろうに。
「見てよパパ!流れ星だよ、降ってきた……!」
「降ってきたって……」

星が流れる。
銀色の、次から次と庭中に。まるでアルミ箔の流星雨。
神様に初めて祈りたいと思った。
息子の肩を静かに抱いた。
ファンタジー
公開:19/12/18 19:24

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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