砂場からザックザック

砂場で遊んでいると、砂の中からお金がザックザックと出てきた。十円玉、五十円玉、百円玉、五百円玉といっぱい出てきて大喜びだ。
これで玩具を買ったり、お菓子が一杯食べられる。でも持って帰ったら母ちゃんにバレてしまう、何処かに隠しておき、ちょっとづつ使えば分からないかなと子供心に思った。
縁の下か、井戸の中か、火鉢の中はどうかな、庭の紅葉の根本に穴を掘ろうか等真剣に悩んでいた。

その時、家の者のシャッターを開ける音に目が覚めた。
私は遠い昔の幼稚園の頃の夢を見ていたのだ。
今から考えれば当時は五百円玉どころか、百円玉や十円玉も無く、それらは全て紙幣だった筈である。
でも何故か現在の硬貨各種が出てきた。夢の中では、その矛盾には気付かずに小躍りした。

それにしても私の今までの人生で、お金があれば色々買えるなといい年になっても思っていたのかな？
だったら万札束でもなくコインのみとは自分に呆れた。