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コンビニの前に、人の形の白い紙が落ちていて、店に出入りする人たちのほとんどがそれを指差し、「何、このうつ伏せの……」と不思議そうな顔をしていた。こういうものに詳しい僕には、それが形代だとすぐに分かった。誰かが何かを祓おうとしているのだ。
人々の反応を見ているうちに、僕は奇妙なことに気づいた。
「うつ伏せ?」
僕にはこの形代を「うつ伏せ」と言い切る自信はない。だが、これを指差した人の全員が、「うつ伏せの……」と囁いているのだ。
僕は、恐る恐る形代を摘み上げた。すると裏に鉛筆で何か書いてあった。
「マトン、ミトン、練炭、コノワタ」
それは、ただの買い物メモだった。
僕はコンビニで消しゴムを買ってメモを消し、その消した面を上にして同じ所に置いてみた。
歩いてきた人はそれを指差して「ほら、あの仰向けの……」と囁いた。
僕は激しい不安に駆られ、練炭を買うためにホームセンターへ走った。
人々の反応を見ているうちに、僕は奇妙なことに気づいた。
「うつ伏せ?」
僕にはこの形代を「うつ伏せ」と言い切る自信はない。だが、これを指差した人の全員が、「うつ伏せの……」と囁いているのだ。
僕は、恐る恐る形代を摘み上げた。すると裏に鉛筆で何か書いてあった。
「マトン、ミトン、練炭、コノワタ」
それは、ただの買い物メモだった。
僕はコンビニで消しゴムを買ってメモを消し、その消した面を上にして同じ所に置いてみた。
歩いてきた人はそれを指差して「ほら、あの仰向けの……」と囁いた。
僕は激しい不安に駆られ、練炭を買うためにホームセンターへ走った。
ファンタジー
公開:19/12/18 15:47
更新:19/12/18 16:04
更新:19/12/18 16:04
bBearさんによる
写真ACからの写真
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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