ひとり記念日

付き合って1年記念日。2年記念日。
そして昨日が3年記念日。

節目ごとに期待してきた。
薔薇の花束と共に贈られる「結婚してください」の言葉。
けど毎度その期待は裏切られ、昨日で遂に3回目。

私は心底がっかりした。
そうして、彼の家からの帰り道を喪失感と歩いている。


ふと、花屋さんが目に留まり、私は薔薇の花を買った。
花束なんて高価で惨めで買えないから、一輪だけ。
そして家に帰って、その一輪だけの薔薇を部屋に飾った。

静かだ。
部屋は、こんなにも静か。
ふっと薔薇の香りがして、見ると花もこちらを見ている、ような気がした。
お互い、ひとりぼっちね。
そう話しかけると薔薇も、ほんとね、と答えた、ような気がした。




スマートフォンに手を伸ばす。
彼のメモリーに発信する。

付き合って3年と1日目。
今日が私の新しい記念日。

再び薔薇の花がほのかに香り、私の背中を押している。