赤ずきんさん

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右手に籠、左手に斧を持っている彼女こそ、俺の求める赤ずきんさんである。彼女は可憐な見た目とは裏腹に、たった一人で獰猛な狼を討ち取った狩人だ。俺は彼女に弟子入りをする為、森へ訪れていた。
「赤ずきんさん!俺を弟子にしてください!」
その場で土下座をして頼み込む。俺には野望があり、その為には強くなるしかない。
「落ち着いてヘンゼルくん。君の話はよくわかったよ。魔女に捕まった妹さんを助けたいんだね?」
「はい!その為には強くなるしかありません!」
「ううん、私が直接行った方が早いと思うけどな」
「それは駄目です!」
「どうして?」
「だって歴史に名前が残らないじゃないですか!」
俺もいつかはこの世界に、お伽噺の主人公として名前を残してみせたいのだ!そう意気込む俺に、赤ずきんさんは哀れむように答える。
「真実はねじ曲げられるものだよ。もしかしたら私だって、か弱い女の子として言い伝えられちゃうかも」
その他
公開:19/12/19 22:58

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