密輸の女

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「ペットなんです!」
税関に大声が響き渡る
行くと、年増の女と部下が揉めていた
「失礼なことばかり言うのよ」
女は部下を指差した
いや、爪指したという方が正しい
彼女の手には上海蟹が握られていたのだ

「犬猫はいいのに、蟹はダメなわけ?」
これが噂のモンスター飼い主か
「特定外来種は生態系を壊すので、持ち込めません」
私は毅然とした態度で答えた
「蟹差別ですか?」
「蟹区別です」
部下も応酬する
「蟹は食べ物だと思ってるんでしょ?」
税関の全員が女に注目していた

そこへ警察が来て連行された

トイレに行くと部下も用を足していた
「派手にやりすぎだ」
「いいキャラでしたね」
「で?」
「3人目のバックパッカーですよ、うまく通過しました」
それを聞いた私は制服をゴミ箱に捨てた
「リュックからハサミが出てたんで、焦りましたけど」
「お前も早くこっち来いよ」
「はい」

養殖場はもう手配してある
ミステリー・推理
公開:19/12/19 21:35

西木( Tokyo/Tokushima )

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