うしなわれた白菜

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冬だ。シンプルな水炊きを研究室仲間と囲もうと思った。しかし、鍋には白菜ではなくキャベツが入っていた。驚くと店の人は「なんでも白菜を枯らす病気が流行ったそうで」と言うのだ。地上からは白菜が消えたらしい。

白菜のない鍋に意気消沈したが、研究室の物質転送実験は、成功した。
そして、転送に際しては、装置の近くにいる者の思念も影響することが分かった。
チョコレートの転送では、近くに「クッキーが食べたい」と想った人がいた。すると受信装置の中にはクッキーが現れた。
ならば、白菜を思い浮かべれば、白菜が現れるはず。
次の実験で「うしなわれた(ポチ)白菜」と念じた。
受信装置には、
「うし」と「なわ」と「れた」が現れた。
スイッチを押すのがはやすぎた。
小さな牛は「モーモー」と鳴くし、藁で編まれた縄がある。「れた」はよくわからないが、のたうっているのだった。
白菜は「ウシ」「ナワ」「レタ」ままだった。
SF
公開:19/12/19 18:23
スクー

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