オズワルド家を継ぐ者

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「嘘とクレジットカードには限界があるのよ!」
 書斎に入るなり、エマは熱心に本を読んでいるライアンに店の決算書を叩きつけた。
「いい加減、何を考えているのか教えて!」
 読みかけていた本を開いたまま机に置くと、彼は指先で頁の一部を叩いた。
「僕はここを掘る」
 開いた口が塞がらなかった。ルイス・オズワルドはシカゴとともに育った不動産王だ。その彼が唯一大失敗したとされる事業が、ライアンの示す金鉱床の開発計画だった。
「今時こんな無駄な場所掘る人いないわ!」

 坑道の奥で怪我をして倒れていたライアンを救ったのはエマだった。
「僕と絶縁するって言ってなかった?」
「自惚れないで」
 静かに微笑むライアンの背後には輝く金の延べ棒の山があった。
「どうして……?」
「ルイス・オズワルドは天才さ。絶対ここにあるはずだと僕は思ったんだ」
「え?」
「彼の埋蔵金だよ。実は僕、彼のひ孫なんだ」
青春
公開:19/12/19 16:30
金鉱床

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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