逆毛

朝起きると、たまに頭がライオンになっている。
毛質は真っ直ぐだが、固い。一旦こじれると頑固に跳ねる。手で撫で付けても櫛でなだめすかしても、終いに水をぶっ掛けても言う事を聞かない。それでもって、そういう時に限って遅刻寸前、おまけにちょっと気の張る仕事で、人と会わなければならなかったりする。
このくそ忙しい時に！耳のない奴にキレても無駄なので（切ってやろうかとは思うが）ワックスで固める。まだ跳ねる。今日はよほどご機嫌斜めらしく、梃子でも直るもんかとふんぞり返っている。いや、単に面倒臭がって、乾かさずに寝たからだ。いい加減学習しろ自分。脳内で突っ込みながら、ライオンからバーバ・〇ジャになった頭で車に飛び乗る。
特に酷いのが襟足。なぜかそこだけ毛根が逆向きらしく、シャツの衿と重なって爆発状態。まったく我ながら憎たらしい、根性曲がりな毛め。睨むバックミラーの中、ケッケッケと愉しそうに毛が跳ねている。