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私達が人の足を欲しがる生き物だなんて一体誰が決めたのでしょう。私はその青年の眼球を舐めたくて仕方がありませんでした。彼と私は読書が好きでしたからとても気が合いました。本を優しくなぞる彼の手も好きだったかもしれません。
「君に触れたい」
思いがけないその言葉に私は彼の両手を自分の頬へ触れさせました。温かく心地のよい熱が伝わってきます。
「熱でもあるみたいだ」
私の頬は彼の手よりずっと温かくなってしまったようです。
「なんだか君の頬は湿っぽいような」
呟く彼の表情が曇った瞬間、私は彼の瞼を持ち上げ眼球を舐めてしまいました。理性を失ってしまったのかもしれません。
彼は悲鳴をあげ私を押しました。私は船から海へと落下していきます。深く深く落ちていきます。もう二度と彼に会うことはできません。彼の眼球を愛してしまったから。
船の上では青年がひとり呟いていました。
「目が、見える」
「君に触れたい」
思いがけないその言葉に私は彼の両手を自分の頬へ触れさせました。温かく心地のよい熱が伝わってきます。
「熱でもあるみたいだ」
私の頬は彼の手よりずっと温かくなってしまったようです。
「なんだか君の頬は湿っぽいような」
呟く彼の表情が曇った瞬間、私は彼の瞼を持ち上げ眼球を舐めてしまいました。理性を失ってしまったのかもしれません。
彼は悲鳴をあげ私を押しました。私は船から海へと落下していきます。深く深く落ちていきます。もう二度と彼に会うことはできません。彼の眼球を愛してしまったから。
船の上では青年がひとり呟いていました。
「目が、見える」
ファンタジー
公開:19/12/16 11:30
更新:19/12/16 17:48
更新:19/12/16 17:48
人魚
書いたり喋ったりする金髪ギャルのひとです。時空モノガタリ出身。
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